ぐるり韓国

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辛い時期すら芸術作品にする。Dabin【Documentary】

DPR LIVEことダビンのドキュメンタリーを紹介します。

ダビンはニューリリースのプレイリストでJASMINEを聴いたときから気に入ったものの、本当に音源を聴いていたのみで顔を知らず(今となっては素敵なMV見ていないの勿体なかったと反省)映像を見だしたのは社会人になってからでした。昨年くらいから大きく流れが変わり、DPR内で実はトラブルが起こっていたこと、その後ダビンがCTYLを設立したことなど大まかな流れのみ把握していました。
ダビンがソロで活動するようになってからこのドキュメンタリーがYoutubeに公開され、8月にその3本目が公開されました。1時間弱ありプチ映画レベル。
1本目が公開された時はDPRのツアーを行っていた裏でダビンが思った以上にボロボロだった姿が収められており、衝撃的でめちゃくちゃ追ってる私じゃなくともかなり気持ち的に見るのが辛くて、2本目から見る勇気ないな~と思っていました。


「AM I ALIVE?」
私もこの東京のツアーに参戦していて、何も知らないでライブかっこいい!とキャーキャー騒いでいたのがむなしくなる気持ち。

このままのテンションはきついわ、と2本目から見ていなかったのですが、実際は1本目と違う雰囲気で、ダビンが自然の中でリフレッシュする様子が収められた、5分強の短い動画が2本目です。


「ANECHOIC PERIOD」


そして今回上げられた3本目「LET ME TAKE YOU BACK TO」
ダビンが幼少期を過ごしたグアムを訪れ、実際暮らしていたアパートを訪ねます。その後クルーのIANや練習生時代を過ごした1Millionのリアキム先生などとの対談を通して過去を振り返ります。最後にはダイナミックデュオやビンジノなど、大御所からのDPRライブのイメージなどのインタビューも収められていました。

グアムでの幼少期についてもそこまで詳しくは知らなったけど、とにかくイアンとリアキム先生との関係について、初めて知ることが多くてびっくり。イアンが元アイドルなのは知っていた(私がゴリゴリのアイドルオタクをしていた時期にC-CROWNが活動していたのでロムことイアンのことも前から見ていた)のですが、イアンとダビンの出会いや絆がこんなに強いと想像していなかったんです。ダビンはグアムにいる頃からイアンのB-boy動画を見ていてファンだったのだと。そして韓国に移住したときにイアン本人から会おうとメッセージが来たのが二人の始まりだったそうです。すぐに実際に会った2人はそこから毎日のように一緒に過ごして、ダビンは現ワンミリオンで練習生に合流していたんだそうで。そこまでがっつりダンスしていたの知らなったし、天下のリアキム先生が若い頃に教えていたなんて本当にびっくり。ダンスの才能もあり、音楽の道を選んだ時先生たちはとても惜しがったようです。2人の若かりし頃の動画が本当にエモくて、昔の明洞をバックに本当に仲良さげな2人の姿に胸が熱くなりました。


Youtubeでディグったら出てきたB-boy時代の2人。ダビンほっそい。

詳しくは割愛しますが、その後DPRになるまでの流れも詳しく本人から語られており、兵役の中で音楽を選ぶ気持ちが固まったのだそうです。お父さんの末期がんについてもインタビュー内で当時の様子が明かされており、ダビンが若くて貧しい中でお父さんの世話をしながら必死に生きていた様子は想像してた以上の厳しさで、、それにも衝撃を受けました。
ダビンがCTYL設立後に出した正規「Giggles」は本当にホンダビンの人生を聴けるアルバムで、だからこそイージーリスニングとは遠いもので誰にでもおすすめできるような雰囲気ではないと感じました。ドキュメンタリーも重たいなあと最初敬遠しそうになりましたが、2本目の動画「Anechoic Period」はGigglesにも収録されているインタールードと同名で、無音と最後にダビンの深呼吸が入っているものです。Anechoicは響きが無い、無響という意味で色々解釈がありますが、ダビンがネガティブなものを手放して無に帰る時間、とでもとれるでしょうか。アルバム内でも、Anechoic Period最後の深呼吸の後から収録曲の雰囲気が大きく変わりポジティブな曲に入ってくるところが、ドキュメンタリーと同じ流れになっています。本当に色々なことがあって大変な思いをしたことに変わりはないけれど、そんな自分の姿すら作品として昇華させようとしているのかなと感じました。なのでリスナーも重さにそこまで身構える必要なく、楽しんで聞くことが一番なのかなと思ったり。

Giggles

Giggles

  • Dabin
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2037

Gigglesだけで絶対ボリュームのある記事書けるけど、そこまでの気力がなかなか出ない(笑)&ダビンは日本にもガチペンがいるから私が書くのはちょっとおこがましいかなという気持ち。「Giggles 해석」で検索すればYoutubeなどでも解説動画がたくさん出てくるので気になる方は是非。

金や女について歌う韓国ラッパーはいなくなったのか、というポストを最近Xで見たのですが、昔に比べてスタートからそれなりに余裕のあるアーティストが多い中で激しい歌詞は減って、愛や人間関係について穏やかな歌詞を書くラッパーが増えるのは当たり前じゃないか、というのが個人的な意見です。今売れっ子のアーティストの中でダビンはかなり厳しい生活をしてきた部類だと思いますが、そのダビンですら、自分の貧しい過去や幼少期の苦い経験について書いてるのは最近になってからだし、DPR LIVEは渇望するようなヒップホップではなく、お洒落なシティポップというイメージじゃないでしょうか。金稼ぐ!女!みたいな強い歌詞を書いても一番おかしくない人なのに、そんな彼が愛や人や精神についてだったり、ロマンティックな歌詞を書いてるのが、彼の素敵な部分だし、だからこそその説得力があるなと思ったり。
このドキュメンタリーがどこまで続くのかは分からないですが、これからも発信してくれるメッセージを楽しみにしたいです。そしてもちろんDPR LIVEとしての活動にも期待したい!